楽劇『ガラシャ』を見てー観客の感想
謡曲仕 舞奉納家 一扇さんの感想
【謡曲仕 舞奉納家 一扇さんのホームページ「和み文化の風の声」から】
ある方のご厚意で、楽劇の祭典20周年特別公演 楽劇「ガラシャ」の観劇をさせていただきました。ガラシャの結婚披露宴のシーンは高砂の謡から始まりました。
四海波静かにて 國も治まる時つ風 枝を鳴らさぬ御代なれや
あひに相生の 松こそめでたかりけれ げにや仰ぎても
事も愚かやかかる世に 住める民とて豊かなる 君の恵みぞありがたき
君のめぐみぞ ありがたき
能の謡と仕舞とオペラとの融合は初めてでしたが、全く違和感がなく馴染んでいました。
考えてみれば、お能は和のミュージカルですね。
和洋折衷の面白さは新たな世界観を創造していました。
パンフレットの ごあいさつ にも紹介されていたのですが、10周年記念公演では楽劇「保元物語」が公演されたそうです。
この公演では、能楽シテ方観世流 梅若 実玄祥先生とドイツ人の演出家の故マンフレート・フーブリヒト氏が演出に参加されたそうです。
このコラボも素晴らしかったそうです。
そして、音楽面では 作曲家 武内基朗氏が能楽の楽曲と西洋管弦楽曲との調和と融合に研究を重ねたそうです。
「ガラシャ」はその研究成果を踏まえつつ、日本の能の様式をベースとしつつ オペラを日本の文化伝統の枠組みの中で再構築したというものでした。
有難いことに脚本を書かれた 笠谷和比古先生や撮影担当の安田洋二郎先生とご挨拶させていただくことができました。
主役のガラシャを演じた遠藤久美子さんと細川忠興と神父のダブルキャストを演じた稲垣俊也さんのオペラ劇も素晴らしい歌声でした。
そして照明の演出が美しく、ガラシャが最期に炎の中を歩く場面や天国へ導かれる場面はとても印象的でした
感動覚めやらぬ帰り道 一日限りで昼と夜の二回の舞台ではもったいないと思いました。
またお能の新たな可能性を感じ嬉しくなりました。
I さんの感想文
先日の「楽劇ガラシャ」、大変大掛かりな舞台で驚きました。
長岡京市でこんな立派な舞台が観劇できるとは思いもよらず、
演者の声量に圧倒され、心に沁みる印象でした。
一緒に来ていた姉と「来て良かったね」と言って帰りました。
N.Oさんの感想文
「楽劇」って何だろう?と初めて拝見しました。台詞があってオペラよりわかりやすく、ミュージカルより豊かな歌声が楽しめる!ガラシアの数奇な運命を辿りつつ、戦国の時代に浸ることができました。メインキャストの方たちだけでなく、コーラスの方々の歌声も素晴らしく、厚みのある舞台でした。幽玄のひとときをありがとうございました。
R.Bさんの感想文
幕が上がり、いきなりガラシャの婚礼の祝宴、一気に400年前の世界に引き込まれた。そこから場面が変わり、ガラシャと忠興が歌い始めた時、これはオペラでもあったのだと、その転換に不意をつかれた。
ドラマティックなストーリーを短い時間に収め、大掛かりな仕掛けもなく、役者の存在力を中心に置き、そこに映像や音楽が加わり、独自の世界が創り上げられていた。
もう一度、見る機会があればと願う。おそらく見落としてしまっであろう細部に新たな発見があるものと確信する。